メリディアン

日本語

 

徳沢愛子姉妹の

 

 

戻る


(とげ)

異邦人の使徒 と呼ばれたパウロ

神から肉体に一つの棘を与えられた

三たび伝道の旅に出て

聖徒たちに十四通の手紙を遺した

信仰の猛者 愛の完結のうちに殉教した

そのパウロが祈り求めたこと

<どうかこの肉体の棘を

取り除いて下さるように>

 

答えはなかった

長い静寂が答えであった

深い沈黙がその答えであった

それほど静寂には

それほど沈黙には

答えが横溢(おういつ)していた

 

やがてパウロに御声が聴こえた

「わたしの力は弱いところに

完全にあらわれる」

 

翻然(ほんぜん)とパウロは理解した

<キリストの力が わたしに宿るように

むしろ喜んで自分の弱さを誇ろう>

<わたしが弱い時にこそ

わたしは 強いからである>

 

弱さを認め 悲しんだ時が

私の人生に幾度あったことか

どうして私のこの棘を

パウロのように誇れようか

どうしたら声あげて誇れるのか

教えてほしい

幾夜 枕を強く抱えたことか

 

時を重ねた今 少しだけわかる

イエス・キリストの憐れみと力

それこそ弱い私が私であり続ける(もとい)

両足踏ん張り 寄って立つ所

しゃがみこんだ心の時こそ

決意の飛翔(ひしょう)

高く光へ 私はジャンプする